Ethernetの基礎知識

媒体

Ethernetのには次の3種類がある。 以前は 10Base5 が主流であったが、(一瞬の10Base2の流行の後) 現在では(少なくとも計算機を直接接続する部分では) 10BaseT で ネットワークを組むのが一般的になっている。

Yellow Cable の主要特性


10Base5 では媒体として 50Ωの同軸ケーブルを用いる。 ケーブル中央に銅またはアルミの導体があり、その回りを 絶縁体で囲みさらに外側にはシールド導体、そして絶縁ジャケットで 保護されている。 (現在ではいろいろな色のものがあるが)当初は黄色が主流だったので、 このケーブルを Yellow Cable と呼ぶ。

CSMA/CD

CSMA/CD (Carrier Sense Multiple Access/ Collegion Detection) 方式 とは、競合によるメッセージの衝突を前提としており、チャネルの割り当て 機構に衝突を積極的に取り込んでいる (これをコンテンション方式という。ポーリング方式の逆。)。

衝突の検出

トランシーバは同軸ケーブルを電流源信号によって駆動しており、 論理値 0 または 1 がそれぞれ電流を 「流さない」または 「流す」 ことを表す。 1台のトランシーバは約40mAの電流を流し (シールドを基準点にして同軸ケーブルの中心導体からトランシーバ へと負の電流が流れる)、同軸ケーブルの中心導体とシールドの電位差は 約2Vになる。

2台のトランシーバが電流を流す場合は各々が 40mA を流すので、 電位差は約 4V に上昇する。 これによりトランシーバの受信回路が衝突を検出できる。

衝突の窓 (Collegion Window)

ホスト $host_1$がパケットを送出してからネットワークのすみずみにまで信号が 伝播するには一定の時間 t がかかる。 送信を開始した後に時間 t が経過すれば他のホストはパケットを 送出しないので衝突は起こらない。 衝突が起きた場合に衝突信号が返ってくる時間を考慮して、 信号が媒体を1往復する時間を T = 2t とすると、$host_1$ は 送信を開始してから時間 T が経過したあとは伝送チャネルは host_1 が確実に占有したと判断できる。 この T を「衝突の窓 (Collegion Window) 」という。


衝突発生時の振舞い


Ethernetフレーム

フレームの受信

Ethenet フレームは最小 64 octed, 最大 1518 octet となる。 受信ノードは carrier sense 信号を監視しており、これが on から off になると1つのフレームが受信されたとみなす。

受信フレームが octet の整数倍でないと最も近い octet 整数に まるめる。(普通はこの結果 FCS check error となる。) 64 octet 未満の場合はラント・エラー。1518 octet よりも大きいと 1518 octet で切る。

フレームの送信

Ethernetフレームの送信は、 という条件を満たした時に行なわれる。 条件を満たさない場合は、条件を満たすまでフレームの送信を控える。

トランシーバ

トランシーバはホストからの送信対信号を watchdog timer で監視し、 150 μsec を越えた連続信号が送られてくるとこれを物理チャネルに 送出しない。 (Ethernetが正常に機能する鍵である)信号衝突機構が機能している ことを確認するために、ホストが送信を完了した直後の 9.6 μsec を 使って、トランシーバと送信ホストの間で衝突検出回路の動作確認を 行なう。

符合化方式

マンチェスタ符合化 --- 1ビット・セルを2分割し、前半をオリジナルの 補数、後半をオリジナルにする方式。

プリアンブル

物理的に信号立ち上がり時は不安定なので、データを送出する前に チャネルを安定し同期をとる仕事が必要になる。 送信側はデータ送出に先だって 8 octet のプリアンブルを送り出す。 受信側はプリアンブルの際語 2bit に1が連続することを利用して データの先頭を知る。

リピータ

リピータは、接続された2つのセグメントに対して双方向の増幅・ リタイミング機能を果たす。 片側のセグメント上のプリアンブルを含むデータ・フレームを そのまま忠実に反対側セグメントに送出する。リピータ内部では一旦 マンチェスタ符合がデコードされ再びエンコードされて反対側に 送出される。 ただし、プリアンブル部はリピータが生成する。

リピートされるパケットに対する有効なキャリア・センス信号が 立ち上がった後、 6bit時間以内に 64bitのプリアンブル部を生成し 送出し直後にリピートすべきパケットを送出しなければならない。

物理層で MAC 副層を実現するハードウェア (LANCE チップ) では、 キャリア検知信号が off になってから次のフレームによるキャリア 検知信号が on になるまでに内部回路をリセットしなくてはならない。 現在の LANCE チップでは 10Mbps で 40bit時間は必要である。 これがフレームの間を 96bit時間あけるべしという規定の理由。 リピータをフレームが通化すると、リピータ内部のクロックで 再タイミングがとられるし、またフレームごとの中継時間の ばらつきもある。 これらの要因を総合すると、リピータ通過時にフレーム間隔が 10bit時間現象する可能性がある。これにより「4(ハーフ)リピータ規則」 が決まっている。


10BaseT

10Base5 や 10Base2 においてはいずれも50Ω同軸ケーブルを敷設する 必要があった。 10BaseTは、既に建物に埋め込まれた電話用ツイストペア・ケーブルを 利用するために規定された。