ロジスティック方程式とは、生物の個体数の変化を表す数理モデルの一種である。
ある島に数つがいのネズミが放されたとして、それ以降の個体数の変化を計算しよう。 生まれる小ネズミの数は現存するネズミの数 $y$ に比例すると考えるのが普通である。 しかし、$y$が大きくなり過ぎると餌が不足することにより、強い抑制力が働くと考えられる。 時に全滅することもあるのでこの抑制力はかなり大きいはずで、 これを $y^2$ に比例すると仮定する。
すると、ネズミの数の増加率 $\displaystyle \frac{dy}{dx}$ は$a$, $b$ を正の実数として次のように表すことができる。
$\displaystyle \begin{eqnarray} \frac{dy}{dx} & = & ay - \frac{a}{b} y^2 \\ & = & -\frac{ay(y-b)}{b} \\ \end{eqnarray} $次のように変形すると、変数分離型の微分方程式になる。
$\displaystyle \begin{eqnarray} \frac{-b}{y(y-b)} dy & =& a dx \\ (\frac{1}{y} - \frac{1}{y-b})dy & =& a dx \\ \end{eqnarray} $両辺を積分して
$\displaystyle \begin{eqnarray} \int (\frac{1}{y} - \frac{1}{y-b})dy & =& \int a dx \\ \log |y| - \log |y-b| & = & ax+C \quad\quad\quad (Cは積分定数)\\ \log |\frac{y}{y-b}| & = & ax + C \end{eqnarray} $補題 |
$\displaystyle
\begin{eqnarray}
p & = & e^q \quad\quad とおくと両辺の \log を計算して\\
\log p & = & q \log e \\
& = & q \\
\end{eqnarray}
$
$\displaystyle \therefore \log p = q のとき p = e^q が成り立つ。 $ |
右辺の分子と分母を $c' e^{ax}$ で割って
$\displaystyle \begin{eqnarray} y &=& \frac{b}{1 +\frac{1}{c'} e^{-ax}} \\ \end{eqnarray} $新しく $\displaystyle \frac{1}{c'} = c$ とおくと
$\displaystyle \begin{eqnarray} y &=& \frac{b}{1 + c e^{-ax}} \quad\quad\quad (式2) \\ \end{eqnarray} $[注意] 最初の式は $\displaystyle \frac{dy}{dx} = ay(1-\frac{y}{b})$ と表現できるので、 $y=b$ の時 $\displaystyle \frac{dy}{dx} = 0$となり、平衡状態に達する。 すなわち、$y$の初期値が$b$より小さい場合は$y$は$b$を越えることはない。 したがって (式1)の右辺は負の場合のみを採用すればよい。 よって最後の(式2)で $c > 0$ である。